青邨記念館
袈裟御前

   けさ ごぜん
「袈裟御前」

明治35年(1902年) 制作
絹本着色
縦:82.7 cm / 横:109.2 cm

 袈裟御前は,平安後期の北面の武士 源渡の妻です。
『源平盛衰記』には,その美しさと情の深さが言葉を尽くして語られています。
袈裟は,従兄弟にあたる遠藤盛遠から強引に懸想され,夫の身代わりとなって殺されました。
恋に狂った盛遠が夫を殺しに来る晩,死を決意した袈裟御前が,髪を切り夫になりすます仕度をしているところを描いています。
 緊張した袈裟御前の様子とは対照的に,画中画の屏風絵には牛車行列とそれを見物する人々が生き生きと描かれ,若き日の青邨が,菊地容斎(1788〜1878)の「前賢故実」などの古画を模写研究した成果を見てとることができます。
青邨は,後に次のように述べています。「私は『前賢故実』の面白味など判ろう筈もない時代だったので,ただ夢中でそれを写したものだった。」
 ちなみに,袈裟を斬ったことに気づいた盛遠は,深い慚愧の念から発心出家し,文覚と名を改めています。


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